Scope3ガバナンスにおける「3つの苦悩」
経営者

保証なき署名への恐怖
2027年の開示義務化に向け、監査法人の保証(アシュアランス)がないデータに、経営者として署名・宣誓しなければならない。「意図せぬ虚偽記載」が、そのまま法的リスクとなる。
調達部門

板挟みの限界
本社からは「Scope3を削減しろ」、現場(サプライヤー)からは「金がない・できない」。両者の間に挟まれ、アンケートの回収率さえ上がらない。これ以上、何を言えばいいのか?
IR・サステナ部門

説明責任の欠如
集まったデータは推計値ばかり。「なぜ減ったのか」「根拠は何か」を投資家に問われても、自信を持って「推論過程」を開示できない。グリーンウォッシュの影に怯えている。
経営者の苦悩

監査法人による保証なき、Scope3算定過程開示の義務化
監査法人による保証なき、Scope3算定過程開示の義務化
【背景】2026/1/8 金融庁報告書
金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」は、2026年1月8日、Scope 3の第三者保証(監査)の先送りを発表しました。これは単なる「猶予」ではありません。経営者に課された『説明責任(ガバナンス)』の深化、すなわち「プロセスの妥当性に対する立証責任」が問われる時代の幕開けを意味します。
2027年3月期以降、時価総額の大きいプライム市場上場企業より、Scope 3の算定・公表が順次義務化されます。しかし、小売業をはじめとする消費者と密接な企業や先進的な上場企業は、義務化を待たずして早期の算定・公表に着手することが想定されます。
それは単なる規制対応に留まらず、透明性の高い情報開示を通じて企業価値の向上(ESG評価の獲得)を能動的に勝ち取るための、戦略的な決断です。
プロセスの妥当性に対する立証責任
排出量の計算は、手段であり、目的ではありません。
GHGプロトコルとGXリーグガイドラインを「ツール」として活用し、経営者が自信を持って、
サステナビリティ情報の「将来情報」(サプライヤーの排出量など直接管理できない情報)についての「推論過程」をレポートして開示し、そのレポート(確認書)に署名することがゴールです。
「将来情報」の不確定さにより、情報の訂正があっても「グリーンウオッシュ」と指摘されない為の法的免責が「セーフハーパー」です。これを獲得するために、「推論過程の開示」「確認書への署名」が必要です。
Scope3開示の法的防衛とガバナンス戦略(グリーンウオッシュと指摘を受けない為に)
2026/1/8 金融庁報告書(サステナビリティ情報開示)を受けての、
Scope3開示の法的防衛とガバナンス戦略

調達部門の苦悩

サプライヤーへの「要請(北風)」は失敗しました。
これからは「支援(太陽)」がバイヤーを守ります。

「CO2データを提出してください」
忙しい中小企業サプライヤーは、どう思うでしょうか?
「忙しいのに、またか・・」
「協力してもいいが、複数のバイヤーから違う形で要求が来る。」
「新型の下請けいじめでは?我が社に何のメリットがあるのか?」
このように考えるサプライヤーがいらっしゃるかもしれません。
そのような状態で提出されるデータは、生きたデータですか?それとも不確実性をはらむ危険なデータですか?

「CO2排出量を提出せよ、という北風」から「CO2を提出する事は我が社のメリットだ、という太陽」
イソップ寓話の「北風と太陽」では、どちらが効果があったでしょうか?
- 「CO2排出量の提出」は、目的ではありません。Scope3カテゴリ1(サプライチェーン排出量)の「削減」を行うための「土台把握」です。ダイエットという目的のために、体重計に乗る事と同じことです。
- 「体重計に乗りなさい」vs「ダイエット(サプライヤーの光熱費削減)を手伝うから、まず、現在の体重を測りましょう」。あなたは、どちらであれば、体重計に乗りたくなりますか?
- 「実際にダイエット」することが、主眼です。ダイエットの指標があります。
事業所ごとの「排出原単位」=事業所のエネルギー排出量(Scope1,2)÷年間売上高(あるいは販売個数等)。排出原単位の考え方は、GHGプロトコル「サプライヤーデータ固有法・経済的配分方式」に準拠します。 - サプライヤーの光熱費削減=サプライヤーのScope1,2の削減=サプライヤーの排出源単位の削減=バイヤーのScope3カテゴリ1削減=サプライヤーの排出源単位xバイヤーの調達額
【ビジネス小説(絵本+音声)】主人公(中小企業社長)に感情移入して、脱炭素経営を知る(クリックで開く)
物語に沿って「納得」し、「着手手順」だけでなく「脱炭素経営指標」の確立まで理解できます。
あなたと同じ中小企業の経営者が、時代の大きなうねりに翻弄されながらも、活路を見出し、会社を新たな成長軌道に乗せるまでの「闘いの記録」です。主人公・黒田洋介の葛藤、発見、そして決断を、ぜひご自身の状況と重ね合わせながらお読みください。
※画面拡大はこちらをクリック →外部リンク
【基礎編】マンガで分かる!中小企業を襲う脱炭素の波(クリックで開く)
※拡大画面表示はこちら ➡外部リンク
【実践編】太陽のアプローチと排出原単位の仕組み(クリックで開く)
※スライドの拡大はこちらをクリック → 外部リンク
「3つの苦悩」の根本原因、それは、
サプライヤーからのデータ収集のストーリー(意図・仕組み)にあった!

解決策「垂直統合ガバナンス(Trust Hub)」
調達部門が「信頼のハブ」になる。

B2Sが構築するのは、「証拠の連鎖(Chain of Trust)」です。
サプライヤーの一次データを、B2S監修の「サプライヤー内部評価レポート」で固めることで、データの「真正性」を担保します。
- Result: 経営者は「免責(セーフハーバー)」を得る。
- Result: IR部門は「自信」を持って開示できる。
- Result: 調達部門は「全社リスクを救った英雄」になる。
サプライヤーデータの管理の鬼門「入力地獄」

必要な情報のみを集める
- バイヤーのメリット:データの信頼性を担保 (目視による証憑とデータの突合不要)
- サプライヤーのメリット:バイヤー毎に異なるSaaSの運用の煩雑さから解放
How(B2Sの専門性と戦略地図)
餅は餅屋(B2Sのエンゲージメント支援)
BPO(Business Process Outsoucing/Operating)で、サプライヤーへの動機づけ(Eラーニングなど教育)、データ収集(堅牢なシステム:Google Form)を活用します。

B2Sの納品物(ISO14064に準拠「GXリーグ第三者検証ガイドライン」に沿ったレポート)

B2Sの知見ノウハウ (サプライヤーエンゲージメント・算定)


算定だけ?サプライヤーのCO2削減のサポートは?

サプライヤーのCO2削減を「自分ごと化」させるプロ「サプライヤーのコスト削減」
=バイヤーからの評価向上(Scope3削減)
=自社の利益(カーボンプライシング)対策となる

※ コスト削減については、別のページをご参照ください。「証書代(非化石証書など)を払うな、設備を買え。「Scope2・コスト削減」の全貌」というテーマで案内しています。
B2Sで大丈夫か?


全てのサプライヤーのScop1,2の算定は必要?
(GHGプロトコル準拠の算定範囲)
全てのサプライヤーに完璧なデータを求める必要はありません。GHGプロトコル(Scope3基準)では、重要性に応じたデータの使い分けを認めています。だからこそ、B2Sは「ホットスポット(重点対象)」を特定することから始めます。
GHGプロトコル(※出典:GHG Protocol Corporate Value Chain (Scope 3) Standard, p.103–105)では、「ハイブリッド方式(Hybrid Method)」は、バリューチェーン全体の中でGHG排出量の多い部分(ホットスポット)を効率的に把握し、正確に削減するための最適な手法とされています。
この方法では、サプライヤーから直接入手する**一次データ(Primary data)と、業界平均などの二次データ(Secondary data)を組み合わせ、精度と効率のバランスを図ります。
1. ホットスポットの特定(Emission Hotspots)
参照元:Scope 3 Standard p.57–60
「ホットスポット」とは、製品の原材料調達から使用、廃棄・リサイクルに至るまでの中で、特にGHG排出量が多いカテゴリや工程のことです。
特定の手順:
- スクリーニング(Screening)
– 15のScope3カテゴリ全体を対象に概算排出量を算出します。
– 方法:金額ベース(Spend-based)や重量ベース(Average-data)などを使用。 - ランキング(Ranking)
– 排出量の大きい順にランキングを作成し、上位のカテゴリを「ホットスポット」として選定。
具体例(製造業の場合):
- 原材料調達(カテゴリ1)
- 販売した製品の使用段階(カテゴリ11)
この2カテゴリが特に排出量の多いホットスポットになりやすい傾向があります。
2. ハイブリッド方式の基本構成
参照元:Scope 3 Standard p.103–105
ホットスポットを特定した後、全サプライヤーに直接データ提供を求めるのは現実的ではありません。
そこで、ハイブリッド方式(Hybrid Method)では以下のようにデータを組み合わせます。
| 手法 | 概要 | データ種別 | 適用範囲 |
|---|---|---|---|
| サプライヤー固有手法(Supplier-specific method) | サプライヤーごとの排出量データを直接入手。 | 一次データ | ホットスポット箇所 |
| 平均データ手法(Average-data method) | 業界平均や統計データを使用。 | 二次データ | その他の取引・データ取得困難な部分 |
この組み合わせにより、過剰な作業負担を避けながら、重点的に正確なデータ収集が可能になります。
3. ホットスポットに対する実践アプローチ
参照元:Scope 3 Standard p.60–62, p.107–110
ホットスポットに特定された部分に経営資源を集中します。
実施ステップ:
- 主要な原材料供給先(サプライヤー)に対し、製品ごとのGHG排出量(カーボンフットプリント)提出を依頼。
- 提出された一次データをもとに、算定モデルを更新。
- サプライヤーと協働で削減策(例:再エネ導入、工程改善)を検討。
ポイント:
- 一次データと二次データが混在するため、データの出所・根拠を明記し、透明性を確保する。
- データ更新時も同一基準(Boundary, Calculation method)を維持する。
4. ハイブリッド方式の効果
この方式を導入することで、以下のような効果が得られます。
- 報告データの精度向上(SBTやCDP報告にも有効)
- サプライヤーとの対話を通じた削減行動の具体化
- ホットスポット集中による効率的な脱炭素経営(GX推進)
引用・参照文献一覧(ページ番号付き)
| 出典 | 文書名・リンク | 該当ページ |
|---|---|---|
| GHG Protocol Scope 3 Standard (2011) | Chapter 6: Identifying GHG Emissions in the Value Chain | p.57–62 |
| 同上 | Chapter 7: Collecting Data | p.103–105 |
| 同上 | Chapter 8: Improving Data Quality | p.107–110 |
IR/サステナ部門の苦悩

集まったデータは推計値ばかり。「なぜ減ったのか」「根拠は何か」を投資家に問われても、自信を持って「推論過程」を開示できない。グリーンウォッシュの影に怯えている。
まとめ
調達部門が「信頼のハブ」になる。

B2Sが構築するのは、「証拠の連鎖(Chain of Trust)」です。
サプライヤーの一次データを、B2S監修の「サプライヤー内部評価レポート」で固めることで、データの「真正性」を担保します。
- Result: 経営者は「免責(セーフハーバー)」を得る。
- Result: IR部門は「自信」を持って開示できる。
- Result: 調達部門は「全社リスクを救った英雄」になる。

