中小企業こそGX率先実行宣言を!

中小企業こそGX率先実行宣言を!
業態転換で脱炭素社会の主役になる方法

「脱炭素化」や「GX」という言葉を聞いて、こんな不安を感じていませんか?
- 「何から手をつければいいのか分からない」
- 「取引先から環境対応を求められているが、どう対応すればいいのか」
- 「中小企業のうちには関係ない話だろう」
- 「環境対応ってコストがかかるだけで、メリットが見えない」
実は、こうした疑問や不安を抱えている中小企業は少なくありません。しかし今、大手企業との取引継続や新規顧客獲得、さらには金融機関からの融資条件にも、環境対応への取り組みが影響する時代になっています。
中小企業にとっても、「脱炭素化」は避けて通れない課題であると同時に、新たなビジネスチャンスでもあるのです。
GX率先実行宣言という制度をご存知ですか?
「GX率先実行宣言」とは、経済産業省が2024年12月6日に新たに創設した制度で、企業が自らの脱炭素への取り組みを社会に宣言し、その内容を公表する仕組みです。この宣言は、GX市場創造に不可欠である需要側からの取り組みに積極的な企業を応援するために立ち上げられました。
重要なポイント:この宣言は大企業だけでなく、中小企業も参加できます!
中小企業にとって、この宣言は単なる環境対応ではなく、自社の業態をグリーントランスフォーメーション(GX)へ転換する大きなチャンスとなります。
特に「サプライチェーン全体でのGXに取り組む企業群を可視化し積極的に評価することで、GX製品の市場形成を推進していく」ことを目的としており、競合する既存の非グリーン製品と機能・性状が似通っているにもかかわらず生産コストが高い場合の製品について、自立的な需要拡大を促進する狙いがあります。
GX率先実行宣言のメリット:
- 自社の環境対応を取引先や顧客に明確に示せる
- 環境配慮型製品・サービスへの市場ニーズに応えられる
- 将来的な規制強化や市場変化に備えられる
- 政府の支援策へのアクセスが改善される可能性がある
- 取引先からの評価向上につながる
GX率先実行宣言の基本を理解しよう
GX率先実行宣言は、取組の具体度に応じて以下の3つのグレードに分けられています:
グレード | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
ブロンズ | GX製品・サービスの採用方針を掲げている | 「当社は電気自動車導入を推進します」 |
シルバー | GX製品採用方針+Scope1~3削減目標を設定している | 「2030年までにCO2排出量を20%削減します」 |
ゴールド | 上記+GX製品採用の定量目標設定 | 「2030年までに車両の80%をEV化します」 |
まずはブロンズレベルで宣言し、段階的にシルバー・ゴールドへ移行していくことが推奨されます。実際、多くの中小企業はブロンズレベルから始めています。
GXリーグとGX率先実行宣言の関係
GX率先実行宣言はGXリーグでの議論を通じて立ち上げられた枠組みです。GXリーグは「カーボンニュートラルへの移行に向けた挑戦を果敢に行い、国際ビジネスで勝てる企業群がGXを牽引する枠組み」であり、700社超の企業が参画しています。
GXリーグは主に大企業が参加する場ですが、GX率先実行宣言は中小企業も含めた幅広い企業が参加できる仕組みとなっています。これにより、サプライチェーン全体でのGXの取り組みを促進し、脱炭素社会の実現を加速させることを目指しています。
1. 業種業態に応じたGX製品の選定と課題
GX率先実行宣言の第一歩は、自社の業種業態に適したGX製品を選ぶことです。創設当初は「政府による支援措置が講じられているグリーンスチールやグリーンケミカル、低炭素水素等、SAF等を対象とする」と明記されており、ある程度の対象範囲は示されています。
経済産業省が公開している「GX率先実行宣言について(ver1.1)」の資料によると、対象製品として以下のものが例示されています:
- グリーンスチール
- グリーンケミカル
- 低炭素水素等
- 持続可能な航空燃料(SAF)
- 電気自動車
- 再生可能エネルギー設備
- 省エネルギー設備
これらの製品は、GX率先実行宣言の対象として認められるものですが、今後さらに対象範囲が拡大される可能性もあります。
業種別のGX製品選定ガイド
GXリーグ事務局が公開している宣言事例を分析すると、業種ごとに以下のようなGX製品が選ばれています:
業種 | 推奨されるGX製品 | 選定理由 |
---|---|---|
製造業 | グリーンスチール グリーンケミカル 電気自動車 | 原材料のグリーン化 バイオプラスチックの活用 社用車や工場内車両として |
小売・卸売業 | 電気自動車 グリーンケミカル 再生可能エネルギー設備 | 配送車両として 包装資材、販売商品として 店舗・倉庫の電力として |
サービス業 | 電気自動車 再生可能エネルギー グリーンケミカル | 営業車両として オフィスビルの電力として 事務用品、備品として |
建設業 | グリーンスチール 再生可能エネルギー設備 省エネルギー設備 | 建築資材として 施工物件への導入 高効率設備の導入 |
飲食業 | グリーンケミカル 再生可能エネルギー 電気自動車 | 容器・包装材として 店舗の電力として デリバリー車両として |
中小企業向けアドバイス
GX製品選定にあたっては、以下の方針で進めることをお勧めします:
- 自社の事業活動に直結する製品から選ぶ
例:配送が多い企業は電気自動車、プラスチック製品を使用する企業はグリーンケミカルなど - 既存の環境認証製品を参考にする
エコマーク認定製品、グリーン購入法適合製品などを参考に選定 - 同業種の宣言事例を参考にする
GXリーグ事務局のウェブサイトで公開されている宣言事例を参考に
2. 業種業態に応じた対象行動の検討方法
GX率先実行宣言では、対象製品と共に「対象行動」を選択する必要があります。この対象行動は、自社がどのような立場でGX製品に関わるかを示すものです。
対象行動の種類と業種別の選択ガイド
対象行動 | 適した業種 | 具体例 |
---|---|---|
調達・購買 | 全業種(最も一般的) | 電気自動車の導入、グリーンスチールの調達、再エネ電力の購入 |
中間・最終製品製造 | 製造業 | グリーンケミカル製品の製造、低炭素製品の生産 |
最終製品・サービスの購入・販売 | 小売業、卸売業、建設業 | 環境配慮型商品の販売、グリーン建築の提供 |
研究開発・実証 | 研究開発型企業 | 新たなGX製品・技術の開発、実証実験の実施 |
中小企業向けアドバイス
- まずは「調達・購買」から始める
最も取り組みやすく、多くの企業が選択している対象行動です。 - 自社の強みを活かせる行動を選択
製造業であれば「中間・最終製品製造」、小売業であれば「最終製品・サービスの購入・販売」など - 社内外に示しやすい具体的な行動を選ぶ
「当社は電気自動車を導入します」のように、誰にでも分かりやすい行動を選ぶことで、社内外への説明が容易になります。
3. ブロンズからシルバー・ゴールドへの段階的移行戦略
まずはブロンズレベルから始め、段階的にシルバー・ゴールドへ移行することが現実的です。
グレード別の宣言ポイントと移行タイミング
グレード | 宣言のポイント | 移行タイミング (イメージ) | 移行条件 |
---|---|---|---|
ブロンズ | 定性的な宣言で可 例:「電気自動車の導入を推進」 | 最初のステップ | 特になし(まずはここから始める) |
シルバー | Scope1~3の削減目標設定が必要 例:「2030年までにScope1+2を30%削減」 | 1~2年後 | ・Scope測定体制の整備 ・業界標準の確立 ・自社の環境戦略の明確化 |
ゴールド | GX製品採用の定量目標が必要 例:「2030年までに車両の80%をEV化」 | 2~3年後 | ・GX製品の価格低下 ・技術成熟度の向上 ・支援策の拡充 |
4. 実際の中小企業宣言事例の分析
GXリーグ事務局が公開している「GX率先実行宣言企業一覧」から、実際の中小企業の事例をご紹介します。
企業名 | 業種 | 宣言グレード | 対象製品 | 対象行動 | 削減目標・定量目標 |
---|---|---|---|---|---|
田中鉄工株式会社 | 製造業 | ゴールド | グリーンスチール | 調達・購買 | ・2030年度までにScope 3(カテゴリ1)を2023年度比で12%削減 ・2030年度までにグリーンスチールの調達比率100%達成 |
大橋鉄工株式会社 | 製造業 | ブロンズ | 電気自動車等 | 最終製品・サービスの購入・販売 | ・電気自動車関連製品の販売促進 |
日本トムソン株式会社 | 製造業 | シルバー | 電気自動車等 | 調達・購買 | ・2030年度までにScope 1+2を2022年度比で42%削減 |
中小企業向けポイント
- 業種に適した対象製品と対象行動の選択
同業種の企業がどのような宣言を行っているかを参考にしましょう。 - 段階的なアプローチ
多くの企業はブロンズから始め、徐々にシルバー・ゴールドへ移行しています。 - 具体的な数値目標の設定
シルバー・ゴールドレベルでは、具体的な数値目標と達成時期を明示しましょう。
5. 様々な業種のGX率先実行宣言ケーススタディ
実際のGX率先実行宣言を検討する際の参考として、様々な業種の中小企業による架空のケーススタディをご紹介します。
業種別ケーススタディ
業種 | 企業名 | 従業員数 | 対象製品 | 対象行動 | 宣言グレード | 宣言内容 |
---|---|---|---|---|---|---|
小売業 | 株式会社グリーンマート | 50名 | 電気自動車 | 調達・購買 | ブロンズ | 「当社は2026年までに店舗間配送用車両の電動化を検討し、CO2排出量削減に貢献します」 |
製造業 | 株式会社エコメタル | 80名 | グリーンスチール | 調達・購買 | ブロンズ | 「当社は製品製造におけるグリーンスチールの活用を推進し、製品のカーボンフットプリント削減に取り組みます」 |
サービス業 | 株式会社クリーンオフィス | 30名 | グリーンケミカル | 調達・購買 | ブロンズ | 「当社は清掃サービスにおいて使用する洗剤類を植物由来のグリーンケミカル製品へ切り替えることを推進します」 |
建設業 | 株式会社エコビルダー | 60名 | 再生可能エネルギー設備 | 最終製品・サービスの購入・販売 | ブロンズ | 「当社は建築物への再生可能エネルギー設備の導入を推進し、顧客のカーボンフットプリント削減に貢献します」 |
飲食業 | 株式会社エコフード | 25名 | グリーンケミカル | 調達・購買 | ブロンズ | 「当社は石油由来プラスチック製容器から植物由来バイオプラスチック製容器への切り替えを推進します」 |
製造業 | 株式会社バイオパック | 40名 | グリーンケミカル | 中間・最終製品製造 | ブロンズ | 「当社は植物由来原料を使用したバイオプラスチック製包装材の製造・販売を推進します」 |
実施計画とグレードアップ計画のケーススタディ
(架空の小売業:株式会社グリーンマート)
実施計画
- まず2台の配送車両を電気自動車に切り替え
- 本社に充電設備を設置
- 効果測定と社内外への情報発信
グレードアップ計画
グレード | 移行時期 | 移行条件 | 宣言内容 |
---|---|---|---|
シルバー | 2026年 | ・Scope 1+2の排出量測定体制の整備完了 ・電気自動車の運用データ蓄積 | 「2030年までにScope 1+2の排出量を2025年比で30%削減」 |
ゴールド | 2027年 | ・電気自動車の価格低下 ・充電インフラの整備進展 | 「2030年までに社有車の80%を電気自動車に切り替え」 |
6. 汎用性の高いGX製品とその活用法
GX率先実行宣言の対象製品として、様々な業種で活用できる汎用性の高いGX製品をご紹介します。
GX製品 | 適した業種 | 活用方法 | メリット |
---|---|---|---|
電気自動車 | 小売業、卸売業、 サービス業、建設業など | ・営業車両や配送車両としての導入 ・社用車の電動化 ・工事現場や施設内での業務用車両としての活用 | ・直接的なCO2排出削減効果 ・燃料コストの削減 ・企業イメージの向上 |
グリーン ケミカル | 製造業、小売業、 飲食業、サービス業など | ・バイオプラスチック製容器・包装材の使用 ・植物由来洗剤・化学品の使用 ・環境配慮型事務用品の導入 | ・石油由来プラスチックからの転換によるCO2削減 ・プラスチック廃棄物問題への対応 ・環境配慮型企業としてのブランディング |
グリーン スチール | 製造業、建設業など | ・製品製造におけるグリーンスチールの使用 ・建築物・構造物へのグリーンスチールの活用 ・グリーンスチール製品のブランド化 | ・製品のカーボンフットプリント削減 ・サプライチェーン全体でのCO2削減 ・環境配慮型製品としての差別化 |
低炭素水素等 | 製造業、運輸業など | ・製造プロセスでの燃料としての活用 ・燃料電池車両の導入 ・熱源としての活用 | ・化石燃料からの転換によるCO2排出削減 ・将来的な水素社会への対応 ・先進的企業としてのブランディング |
7. 中小企業のGX推進における実際の課題と対応策
前述のように、様々な業種で活用できる汎用性の高いGX製品は多数存在しますが、実際にこれらを導入し、GX率先実行宣言を行う際には、中小企業特有の課題に直面することがあります。これらの課題を理解し、適切に対応することが、GX推進の成功には不可欠です。
日本商工会議所の実態調査によると、中小企業がGXを推進する上での主な課題と対応策は以下の通りです。
課題 | 具体的な内容 | 対応策 |
---|---|---|
資金不足 | 環境対応のための設備投資や技術導入には初期コストがかかる | ・補助金・支援制度の活用 ・段階的な投資計画の策定 ・リース・レンタル等の活用 |
専門知識の不足 | 脱炭素やGXに関する専門知識を持つ人材が社内にいない | ・外部専門家の活用 ・セミナー・研修への参加 ・業界団体等の情報活用 |
人材不足 | GX推進を担当する人材の確保が難しい | ・兼任体制での対応 ・外部リソースの活用 ・若手社員の育成 |
情報不足 | 何から始めればよいか、支援策等の情報が不足 | ・商工会議所等の支援機関の活用 ・同業他社との情報交換 ・GXリーグ情報の活用 |
取引先からの要請への対応 | 大企業からのScope 3削減要請への対応方法が不明 | ・取引先との対話 ・段階的な対応計画の提案 ・業界共通の取り組みへの参加 |
これらの課題に適切に対応しながらGX率先実行宣言を進めていくためには、継続的なフォローアップと取り組みの深化が重要になります。次のセクションでは、宣言後のフォローアップと継続的な取り組みについて解説します。
8. 宣言後のフォローアップと継続的な取り組み:専門家との連携の重要性
GX率先実行宣言は一度行って終わりではなく、継続的な取り組みとその報告が重要です。特に前述の実態調査で明らかになった「専門知識の不足」や「人材不足」という課題を踏まえると、フォローアップの段階では外部の専門家との連携が不可欠になるケースが多いでしょう。
フォローアップの各段階と専門家サポートの必要性
フォローアップの項目 | 具体的な取り組み | 専門家サポートが必要な場面 |
---|---|---|
進捗状況の定期的な確認 | ・宣言内容に対する進捗状況の確認 ・必要に応じた対策の見直し | ・CO2排出量の正確な測定方法 ・データ収集・分析の専門知識 |
社内外への情報発信 | ・社内報やウェブサイトでの進捗報告 ・取引先への定期的な報告 | ・効果的な情報開示の方法 ・ステークホルダーとのコミュニケーション戦略 |
グレードアップの検討 | ・ブロンズからシルバー、ゴールドへの移行検討 ・新たな目標設定 | ・Scope1~3の排出量算定 ・科学的根拠に基づく削減目標設定 ・GX製品の定量的効果測定 |
最新動向のキャッチアップ | ・GX関連の技術や制度の最新情報収集 ・自社の取り組みへの反映 | ・最新の規制動向の解釈 ・技術トレンドの評価 |
特にシルバーグレードへの格上げを検討する際には、Scope1~3の排出量算定が必要となりますが、これには専門的な知識と経験が求められます。「自社だけで対応できる」と考えがちですが、正確な算定と効果的な削減戦略の策定には、専門家のサポートを受けることで、より効率的かつ効果的に進めることができます。
継続的な取り組みのための体制づくりと外部リソースの活用
- 担当者・部署の明確化と外部専門家との連携体制
社内の担当者を明確にしつつ、専門的な部分は外部の専門家と連携する体制を構築します。 - 経営層のコミットメントと投資判断
経営層がGX推進に対するコミットメントを示し、必要な投資(外部専門家の活用を含む)を行う判断をサポートします。 - PDCAサイクルの確立と専門的評価
計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→改善(Act)のサイクルを確立し、特に「評価」の段階で専門家の知見を活用します。 - 取引先との連携強化と情報共有
サプライチェーン全体でのGX推進を目指し、取引先との連携を強化する際にも、専門家の仲介や助言が有効です。
中小企業の実態調査で明らかになった「人材・ノウハウ不足」という課題は、GX率先実行宣言の継続的な取り組みにおいても大きな障壁となります。特に排出量の算定や削減戦略の策定、最新技術の評価など専門性の高い分野では、外部の専門家との連携が成功の鍵となるでしょう。
9. 製造業向け:税制優遇措置の活用でGXをビジネスチャンスに
製造業にとって注目すべきは、戦略分野国内生産促進税制です。この税制は、GX製品の生産・販売量に応じた税額控除を受けられる制度です。ただし、この税制優遇措置とGX率先実行宣言は直接リンクしているわけではありませんが、両者を組み合わせることで相乗効果が期待できます。
戦略分野国内生産促進税制の概要
対象製品 | 単位あたりの控除税額 | 適用要件 |
---|---|---|
電気自動車(EV・FCV) | 40万円/台 | ・青色申告書を提出する法人 ・産業競争力強化法の事業適応計画の認定を受けた法人 ・産業競争力基盤強化商品生産用資産を取得し、国内で事業に供する法人 |
電気自動車(軽EV・PHEV) | 20万円/台 | |
グリーンスチール | 2万円/トン | |
グリーンケミカル | 5万円/トン | |
持続可能な航空燃料(SAF) | 30円/リットル | |
半導体(マイコン・アナログ) | 7,000円~1.6万円/枚 |
重要ポイント:この税制優遇措置は生産設備投資を行う事業者のみが対象です。販売のみを行う事業者は対象外となります。
GX率先実行宣言との相乗効果
GX率先実行宣言で「中間・最終製品製造」を対象行動として選択し、同時に戦略分野国内生産促進税制を活用することで、環境対応とビジネス拡大の両立が可能になります。
戦略分野国内生産促進税制の申請方法と期限
戦略分野国内生産促進税制を適用するためには、2027年3月31日までに事業適応計画の認定を受ける必要があります。申請方法と注意点は以下の通りです:
項目 | 内容 |
---|---|
申請期限 | 2027年3月31日まで |
申請方法 | 原則としてWEB申請(Gビズフォーム)から申請 |
必要なID | GビズID(プライム、メンバー) |
申請窓口 | 業種によって担当省庁が異なる ・経済産業省所管の事業:各地方経済産業局 ・その他の業種:各担当省庁 |
現状の注意点 | 2025年3月現在、「制度の運用に必要な省令・告示等の規定を準備中」であり、「関連規定が整備でき次第、情報を順次更新する予定」とされている |
問い合わせ先 | 経済産業省 カーボンニュートラルに向けた投資促進税制・戦略分野国内生産促進税制関連窓口 (環境政策課GX推進企画室:03-3501-1679) |
重要ポイント: この税制の適用を検討している企業は、最新の情報を経済産業省のウェブサイトで確認するか、上記の問い合わせ先に相談することをお勧めします。制度の詳細は今後変更される可能性があります。
※このブログ制作時点で、「戦略分野国内生産促進税制の創設等に係る産業競争力基盤強化商品に関する省令(案)等に対する意見公募」(パブコメは終了)が掲載されています。そのページの中に、「命令などの案」が掲載(PDF)されていますので、まずは、詳細をご確認ください。
10. 「攻めの脱炭素ビジネス」としてのGX率先実行宣言
GX率先実行宣言は、単に「取引先からのGHG排出量の算定・削減」などの「守りの脱炭素経営」という視点でなく、中小企業が自らの業種業態を考慮しGX製品流通にどう関わり(製造、中間/最終製品製造、調達/購買など)、自社製品サービスをどう差別化するかという「攻めの脱炭素ビジネス」のきっかけとなります。
「守りの脱炭素経営」と「攻めの脱炭素ビジネス」の比較
視点 | 「守りの脱炭素経営」 | 「攻めの脱炭素経営」 |
---|---|---|
目的 | 取引先からの要請への対応 規制への対応 | 新たな市場機会の獲得 競争優位性の確立 |
取り組み | GHG排出量の算定・削減 省エネ対策 | GX製品・サービスの開発・提供 ビジネスモデルの転換 |
効果 | 取引継続 コスト削減 | 新規顧客獲得 収益拡大 企業価値向上 |
「攻めの脱炭素ビジネス」のポイント
- 自社の強みを活かしたGX製品・サービスの開発
既存の技術やノウハウを活かし、GX製品・サービスの開発・提供を行います。 - 新たな市場機会の獲得
脱炭素社会への移行に伴い生まれる新たな市場機会を積極的に獲得します。 - サプライチェーンでの位置づけの強化
GX推進に積極的に取り組むことで、サプライチェーンにおける自社の位置づけを強化します。 - 企業間連携による相乗効果
「Scope3排出量削減のための企業間連携による省CO2設備投資促進事業」などを活用し、
取引先企業との連携を強化します。
11. まとめ:今こそGX率先実行宣言を始めるとき
GX率先実行宣言は、中小企業が脱炭素社会への貢献を明確に示し、自社の業態を
グリーントランスフォーメーション(GX)へ転換するための有効なツールです。
中小企業がGX率先実行宣言を始めるメリット
メリット | 具体的な内容 |
---|---|
取引先からの評価向上 | 大手企業との取引において、環境対応が評価される |
新規ビジネスチャンスの創出 | 環境配慮型製品・サービスへの需要拡大(国の方針)に対応 |
将来的な規制対応の先取り | 今後強化される環境規制に先んじて対応 |
社内の意識改革 | 環境対応を通じた社員の意識改革や企業文化の醸成 |
政府の支援策へのアクセス改善 | GX推進に関する各種支援策へのアクセス向上 |
今すぐ始める3つのステップ
- 自社の業種・業態に適したGX製品と対象行動を選定
本記事で紹介した業種別ガイドを参考に、自社に最適な組み合わせを検討しましょう。 - ブロンズレベルでGX率先実行宣言を行う
まずは定性的な宣言から始め、自社の脱炭素化への意思を示しましょう。 - 段階的に取り組みを深化させる
市場動向を見極めながら、シルバー・ゴールドへの移行を検討しましょう。
専門家のサポートを活用しよう
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参考資料・出典
- 経済産業省「GX率先実行宣言について(ver1.1)」
https://gx-league.go.jp/aboutgxleague/document/%E3%80%90GXL%E3%80%912502_GX%E7%8E%87%E5%85%88%E5%AE%9F%E8%A1%8C%E5%AE%A3%E8%A8%80%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%EF%BC%88ver1.1%EF%BC%89.pdf - GXリーグ事務局「GX率先実行宣言企業一覧」
https://gx-league.go.jp/action/declaration/ - 経済産業省「戦略分野国内生産促進税制の概要」
https://www.meti.go.jp/policy/economy/kyosoryoku_kyoka/senryaku_zeisei.html - e-Gov パブリック・コメント「戦略分野国内生産促進税制の創設等に係る産業競争力基盤強化商品に関する省令(案)等に対する意見公募」
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=595125014&Mode=0 - 経済産業省「GX率先実行宣言の創設について」(2024年12月6日)
https://www.meti.go.jp/press/2024/12/20241206004/20241206004.html - 日本商工会議所「中小企業の脱炭素化に関する実態調査」
https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1203365 - 経済産業省「GXリーグについて」
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/methanation_suishin/kokunai_tf/pdf/001_05_02.pdf - 環境省「Scope3排出量削減のための企業間連携による省CO2設備投資促進事業」
https://www.env.go.jp/content/000279172.pdf
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